トカラ列島十島村役場が鹿児島市にある理由は?離島(悪石島)ならではの背景を解説

2025年7月、トカラ列島十島村(悪石島など)で地震が多発し、全国的に注目が集まっています。
ニュースをきっかけに、「十島村・悪石島ってどこって?」「なんで役場が鹿児島市にあるの?」と検索した方も多いのではないでしょうか。
この記事では、離島であるはずの十島村の役場がなぜ鹿児島市にあるのか、その理由と背景をわかりやすく解説します。
トカラ列島十島村とは?
まず、「十島村(としまむら)」について簡単に紹介します。
十島村は、鹿児島県の南方屋久島と奄美大島の間にある、有人の七島と無人の島五島からなる南北約160kmの南北に長い村です。
- 構成島:7つの有人島(口之島、中之島、諏訪之瀬島、平島、悪石島、小宝島、宝島)と5つの無人島
- 人口:668人(2025年6月現在)
- 主な交通手段:週2便の村営フェリー(フェリーとしま2)
- 役場所在地:鹿児島市泉町14番15号
各島に出張所はありますが、役場自体は200㎞ほど離れた鹿児島市内にあります。
十島村役場が鹿児島市にある理由は?
なぜ十島村役場は鹿児島市にあるのでしょうか。
その理由は大きく2つあります。
アクセスの困難さ
十島村役場が鹿児島市内にある理由1つ目は、アクセスが困難なこと。
十島村は、有人島が7島ありますが、
南北160㎞にわたっているため、北の島(口之島)から南の島(宝島)までフェリーで6時間半ほどかかります。
フェリーは週2回あるだけで、各島内の商店や宿泊施設には限りがあります。
十島村内のいずれかの島に役場を置いた場合、たとえば、悪天候で船が欠航すれば、役場の機能自体が止まってしまい、行政手続きや緊急対応に大きな支障が出てしまいます。
そのため、フェリーの発着地であり、物資や人の流れの中心でもある“鹿児島市”の港の近くに役場を置く方が、島民にとって都合がよいのです。
住民の多くが鹿児島市と深く関わっている
十島村役場が鹿児島市内にある理由2つ目は、住民の多くが鹿児島市と深く関わっていること。
住民の多くは、高校進学や入院、出産、買い物、役所の手続きなどで、日常的に鹿児島市を利用しています。
特に若者やお年寄りは、長期間を鹿児島市で過ごすことも少なくありません。
2つとも離島ならではの理由ですよね。
他にもある?他の自治体に役場がある町村
実は、役場本庁舎が行政区域内に無い町村は十島村以外にもあります。
それは、鹿児島県三島村と沖縄県竹富町です。
三島村
鹿児島県三島村は、3つの有人島からなる村で、役場は十島村と同じく鹿児島市にあります。
実は、三島村はかつて十島村と同一の村で、十島村(じゅっとうそん)と呼ばれていました。
1946年2月、連合国総司令部(GHQ)の宣言により、十島村は下七島と上三島と分断されて、下七島のみがアメリカ軍の軍政下に置かれました。
1951年に日本への返還が決定し、1952(昭和27)年2月10日に日本に復帰。
同時に上三島と下七島が分村し、三島村となりました。
竹富町
沖縄県竹富町は、9つの有人島と7つの無人島からなる村で、町役場は石垣市にあります。
石垣島と竹富島との距離は直線距離で約6㎞。
石垣港から竹富島までは高速船で約10分、フェリーで約15分と乗船時間も短時間です。
竹富島以外の竹富町の島も、石垣島からフェリーが出ているので、竹富町のどこかの島に役場があるよりも石垣島にある方が利便性が高いですよね。
まとめ
鹿児島県トカラ列島の十島村の役場がなぜ鹿児島市にあるのか、その理由と背景を紹介しました。
一見不思議に見える、役場が他の自治体にあるという配置。
ですが、自然環境・交通の制約・住民の生活動線など、現実的な理由がしっかりと存在していました。
今後も地震や台風などの災害リスクが高まる中で、こうした柔軟な行政体制が、住民の安心と安全を支えているのかもしれません。